BLOG馬場毎日 sawayaka

視界不良の馬場より金ゐ國許が綴る、満願成就三千里手前の幸福雑記

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帯のはなし、『初期短』と緒川たまき的(下)

女優・緒川たまきの恐るべきコメントの前に、第四巻を見てみよう。第四巻は【竹中直人】と【まついなつき】。

ウィキペディアによれば、まついなつき氏は「漫画家。『ぱふ』にてデビュー。旧ぱふに連載されていた『かるめら姫』は、ドグラマグラもパロディされているような、著しい不条理系作品であったが、最近では、エッセイやいわゆる「説明系漫画」で活躍中」とのこと。現在は【「視点を多く持ち、視野を広く持てば、人生だいたい幸せなのでは?」という仮説を実証するために、占星術を学んでいる】らしい。なんだその仮説。


●竹中直人氏(俳優・映画監督)
「幾度となく“あの場所”に行きたくなる・・・そこには世捨て人の哀しみ、儚さ、切ない夢が幻の如くウゴメイテイル・・・。ああ、つげ義春よ俺の目を瞑らせてくれ・・・そして、音の無い慟哭のあの場所へと連れ去ってくれ・・・・・。」

●まついなつき氏(漫画家・エッセイスト)
「全部見せてくれるの?うれしすぎ!!」



監督デビュー作に『無能の人』を選び、主人公・助川助三を演じた竹中直人は、当然ながら適役と言える。映画の内容については賛否両論あるだろうが、大ヒットによって新たなつげファンを開拓した功績は高く評価されてしかるべきであり、解説にまわってもおかしくない人物である(解説については別項にて詳解)。

先日発売されたDVD『無能の人』の特典、オーディオコメンタリー同様に、コメントにおいても「やりすぎ」の謗りを免れられないナルシストぶりを見せつけているが、これも竹中がコメディアンだということを考えれば、許せる範囲内である。ただし、コメントの意味は、私にはよく理解できなかった。

まついは漫画家とはいえ、「つげ的」な漫画を描いているわけでもないし、特集号に寄稿しているわけでもないから、繋がりは弱い。が、衒いのない率直な感想は、マニア向けの本において新鮮である。しかも、どうしてもつげやつげ体験の全体像を俯瞰しようとしてしまう他の推薦者と違い、簡潔かつ的確にこのアンソロジーの性質を言い表している。確かに「全部見せてくれる」のは「うれしすぎ」だ。


いよいよ、問題の第三巻である。この帯のコメントもまた俳優コンビであるが、つげファンは俳優に多いのだろうか。


●大杉漣氏(俳優)
「33年前、武蔵野の小さな本屋で<つげ義春の世界>に触れて以来、つげさんは、ぼくの身体にひっそりと棲みついてしまいました。」



大杉漣】について私が言うべきことは何もない。とにかく私は彼のことが嫌いで、過剰な演技はもちろんのこと、トーク番組で見せる言動のいちいちが私を不愉快にさせる。大杉がまがりなりにも「演技派」として通用してしまうような時代に生まれたことを後悔している。







●緒川たまき氏(女優)
「つげさんの作品の住人を、もしかしたら世間では怠け者、弱虫などというのかもしれません。でも、作品の一編を読み終えると、お茶漬けを食べた後みたいに日本人で良かったと思ってしまうのです。」







●緒川たまき氏(女優)
「つげさんの作品の住人を、もしかしたら世間では怠け者、弱虫などというのかもしれません。でも、作品の一編を読み終えると、お茶漬けを食べた後みたいに日本人で良かったと思ってしまうのです。」






●緒川たまき氏(女優)
「つげさんの作品の住人を、もしかしたら世間では怠け者、弱虫などというのかもしれません。でも、作品の一編を読み終えると、お茶漬けを食べた後みたいに日本人で良かったと思ってしまうのです。」








キタキタキタキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!




ファンサイト】を見ると、緒川たまきはかなりの趣味人という印象を受ける。好きな作家は安部公房、三島由紀夫、谷崎潤一郎、夏目漱石、稲垣足穂、澁澤龍彦、夢野久作、尾崎翠、室生犀星。

「本棚を見ればその人の脳みそがわかる」とはもはや定説であるが、上の作家陣を見て、はたして緒川たまきの脳みそがわかっただろうか。王道だとは言わないにしても、本好きとしてありえないラインナップではない。ちょっと節操がないかな、という印象をうけるぐらいだ。

では緒川たまきがいわゆる「読書人」なのかというと、かなり疑問である。活字離れが叫ばれて久しい今の世で、緒川が相当の読書家であるのは間違いないが、このラインナップは「読書人」という属性だけでは到底説明がつかない。もっと別の理由、もっと別の要素が緒川たまきを形成しているような気がしてならない。

この予感が正しかったことは、プロフィールを見ていくにつれ明らかになる。緒川の趣味を把握した後で見直してはじめて、これらの作家たちが、そしてその並びさえもが、実に「緒川たまき的」であることに我々は気付くのである。


好きなアーティストは竹久夢二、フォーコン、ルミャック(写真家)、ドゥクフレ(舞台演出家)、ジャンティ(舞台演出家)、武井武雄(童画家)、スーザン・ピット(映像作家)。


キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

懸命な閲覧者ならば、すでに私が何を言いたいのか分かっていただけると思うが、焦ってはいけない。きちんと事実を受け止めていこう。女優が舞台演出家を挙げて何が悪い。ドゥクフレに憧れて芸能界に入ったのかもしれないではないか。好きなアーティストの後に説明が必要で何が悪い。知らない人のために解説するのは親切なことだし、ここに挙げられたアーティストたちは皆、各分野の超有名人である。知らないことを恥じるべきなのである。しかし……。



好きな映画はカウリスマキ、ヴィム・ヴェンダー、ポランスキース、チェコのアニメもの。

一ジャンルに絞られると、緒川たまきが実に「緒川たまき的」であることがすぐにわかる。挙げられた監督たちは言うまでもなく巨匠だが、映画ファン以外には決してメジャーとは言えない。かといってマイナーかと言うと、映画ファンにとっては超メジャーなのであるから、それは言い過ぎになる。つまり、「もうひとつの王道」路線にこそ、緒川たまきを緒川たまきたらしめている要素が隠れている。最後の「?もの」という用法は実に「緒川たまき的」と言えよう。



カメラが好き。

よく使うのは「ライカフレックスSL」というクラシックカメラだとか。さすがつげファン、……そう、ここは誉めるところである。誉めるところなのだ。間髪をいれずに、



好きなことは星の観察、古本屋巡り、古い品種の薔薇、アロマテラピー、

……。「古い品種の」って。続いて、


ヨーロッパ刺繍の糸と布のセット、鉱物、ハサミやカッター、万華鏡、切手、中国茶、ファンボア地区のコニャック。

もうここまでくると変人としか言いようがない。羅列された趣味の数々を見ているだけで、唐沢俊一的執念を感じる。このまま行けば末は総理か大臣か、荒俣領域突入が決定的である。今すぐにでもミニ辞典ぐらいは作れそうな、ゴールデングラブな守備範囲だ。


緒川のコメントを見て、「本当につげ作品を理解してんのか?」という作品評価における疑問よりも前に、私は「本当につげ義春が好きなのか?」と思った。しかし、お分かりいただけたと思うが、つまりそういうことなのである。そういう基準をもった人間だからこそ、ああいうコメントを書くことができるのだ。

彼女が用意周到なのは、予め批判を封じ込めていることである。いや、批判はできる。どんなものにでも批判は出来るのだが、<タマキ・マジック>のマジックたる所以は、こちらが意見を持つためにそれらを体験している間に、当人は次の趣味へと移っていて、もはや同じ場所にいないということにある。絶対に後追いになるような先行逃げ切りのシステムが確立されている。それはまるで「つかもうとしてもつかめないねこじゃらしのよう」(ゆず)だ。

あえてひとつに絞らないことは、逃げ切りの距離を稼ぐだけでなく、もうひとつ批判を決定的に回避する機能を持つ。全体に共通する要素を抽出する行為そのものに魅力を感じていると言われれば、誰も反論できないのである。ましてや相手は美人女優。通常人なら良くてドン引き、悪くて病院の「ハサミ・カッター愛好」も許容されてしまうのである。

確かに、【「若かりし頃の町田康さんが観られるということだけでも私は推します」】という発言は、『トリビアの泉』にも出演する売れっ子女優の口から出たものとは思えない。アイドルと女優の垣根の低い我が国の芸能界において、こういった知識・嗜好の公表が果たしてプラスになるかどうか微妙であり、だから「筋金入り」なのだと言うこともできる。がしかし、ここまで博識であるにも関わらず、なぜか帯の言葉は「お茶漬け」なのである。何のためのファンボア地区だ、何のための「竜馬におまかせ」だ、ということになる。

つげ作品の登場人物が世間で「怠け者、弱虫」と言われるだろうことは「もしかしたら」ではない。当然そうである。そうであることが前提として話が進んでいる。というより、作中に主人公が「虫けら」と呼ばれるシーンがあったではないか。つげ流ダンディズムの尊重というよりも、私には批判への配慮に読めた。

「お茶漬けを食べた後みたいに日本人で良かった」とはいったい何事か。お茶漬けが日本人のアイデンティティなのか?フランス人はつげ作品を楽しめないのか?断定を避ける「もしかしたら」の曖昧さは「お茶漬け=日本人」という強引さをカモフラージュしているのか?糞まみれの井月を見ながら飯を食うのか?だったら焼きそばが食いたくならないか?焼きたてのセンベイじゃだめなのか?タクワンが出てきたからか?そもそもお茶漬けを食べた後に「日本人で良かった」なんて思うか?ここはもとの村ではないか?

不安を呼び起こすコメントであるという点で、まさに適役なのかもしれない。



「じゃあオマエだったらどう書くのさ」
「オマエって言うな!」
「帯の言葉を考えてみろよ」

「絶対に見逃せない作品がそこにはある」
「パクリじゃん」

「安い!常識を逸脱した安さだ!」
「薄利じゃん」

「エイスケさん」
「あぐりじゃん」

「オリビア」
「杏里じゃん」

「ほらお母さんもう疲れたから」
「おんりじゃん」

「長・城・決・戦」
「万里じゃん」



おそらく「つげ義春から『清貧』を学ぶ奴は馬鹿だ」ぐらいになるだろうか。皆さんも、究極のつげ本に付される帯に「推薦の言葉」を考えてみてはいかがでしょうか。
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COMMENT

始めまして

意味と無意味が連続してるのがいい。
そういう意味で緒川たまきさんと金ゐ國許サンて
そんなに変わんないんじゃない。
だいたい、つげフアン手、大半が緒川たまき的なんじゃないかしら。それが矮小化して海豚、肥大化して金ゐサンになるか。松岡正剛 診たいに、平均化しないのがミソ。

はじめまして。

正剛が平均化しているかどうかを判断できる一般人が何人いるか、これが問題ですね。私の自意識が極限まで肥え太っているのは紛れもない事実ですがw

確かにつげファンには「緒川たまき的」傾向が強いと思います。もちろん私だけ逃れ得たとは思っていません。というかこのブログのカテゴリーは「サブカル」ですしね。

ほんものになりてえよ、そう思う今日この頃です。

はじめまして

本物だと思います。

はじめまして。

「斎藤種魚」さんが本物いや本人なのかということが私にはまたもや問題になってくるわけですw

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