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視界不良の馬場より金ゐ國許が綴る、満願成就三千里手前の幸福雑記

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『天花』バニシュ・デス三

伝統あるNHK朝の連続ドラマ史にその名を刻んだ、語り継がれるべき大傑作『天花』。たとえ刻んだ名が「視聴率ワースト云位」「主演女優に苦情の電話殺到」といった汚れきったものだとしても、私がこのドラマから教わったことは、数え切れないほどある。この自分企画「『天花』バニシュ・デス」シリーズでは、感謝の気持ちを込めてそれらを綴ってきたのだが、実はそろそろ筆をおかねばならないと考えている。


まだ三回目なのに?

そう、わずか三回目にして私は自分の肉体に、ある生態的変化がおきているのに気付いてしまった。それはちょうど、リアルタイムで『天花』を見続けた高齢の閲覧者たちの身に起こった変化と同じものだろう。このままでは危険だ。そう思い、私は『天花』との離別を決意した。

「バニシュ・デス」とは、人気RPGゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの裏技のひとつで、どんな強敵でも一撃で倒すことができる魔法の呪文のことである(呪文は魔法だが)。私は『天花』を文明に対する挑戦と受け止め、『天花』の後背で甘い汁を吸っている国家権力をも含めて「バニシュ・デス」するという、大変社会派な意気込みで企画名を付けた。


大袈裟?

だってそうじゃない(リンドバーク)。

税金によって運営されていると自ら積極的に認め、全国民の最も信頼できる情報源としての機能を期待される、我が国最大の公器たる国営放送が、延々一年間、月曜から土曜までの週6日、しかも朝の8時15分から30分までの900秒間という、一日の中でベスト5に確実に入る大変貴重な時間を、あろうことか素人の演技勉強に当ててしまったのである。これが「文明への挑戦」でなくして、いったい何なのだろうか。

『天花』の完全版DVD(全14巻)を毎日見続ける実験を通じて、私は確信した。『天花』は単なるホンワカドラマなどではない。れっきとした陰謀である。大掛かりな世論操作である。大衆の考える意欲を根絶やしにする、破壊力抜群のデイジーカッターなのだ。




しかし。
しかしである。


シリーズの中盤を過ぎたあたりで、私の考えに変化が現れた、天花だけに。・・・こんなことを言うまでに私は変わってしまったのである(ぉ

不自然な笑みと甲高くか細い声で閲覧者を挑発してきた藤澤恵麻が、どういうわけかこの頃、健気に見えてきたのである。「バニシュ・デス」するどころか、擁護も擁護、「この見事な駄目っぷりが清清しい」とさえ言い出す始末。

この変わり様は何なのだろうか?
私は可愛らしいアイドルに長いこと付き合うことで感情移入してしまい、骨抜きになっているだけなのだろうか?

低迷する視聴率の責任を一人で背負い、叩かれ続けてもなお一向に進歩らしい進歩も見せずに悲しげに微笑む彼女は、確かに健気だと言える。が、よくよく考えてみれば、健気どころか厚かましいはずであり、義憤に駆られてNHKに怒鳴り込んでもおかしくないのである。つまりこういうことだ。いつの間にか私は、藤澤恵麻に無意識下で投影された、「応援する自分」が健気に見えていたのであった!




竜之介は、静の猛烈なアプローチをまさに「無下に」断って(ほとんどシカトであった)、天花との愛を静かに深めていく。そして二人は夜の井の頭公園でキスをする・・・。

家に帰った天花は、保育園の初給料で買ったプレゼント(もちろん万年筆ですよ!)に手紙を添えて、両親の枕元に置く。翌朝、手紙を読むパジャマ姿の父と母。

「これからは言いたいことがあったら手紙を書きます」
「昨日竜之介さんとキスをしました。永遠の愛を誓いました。」







tenka31.jpg




・・・・やめよう。突っ込みに力が入らない。これだけ登場人物が多いのに、喫煙者が一人も出てこないような偏向ドラマの前に、私は無力だ。あらすじだけ書いて、筆を置こう。




医者にも「はい無理どだい無理」と言われ続けた竜之介の母・洋子だったが、天花が「うちのいなかではァ?枯れた桜にィ?がんばれって言い続けたらァ?い?き?か?え?った?のォ?」としつこく言われ続け、ついに生きる気力を取り戻す。

静は天花とお茶したときも「ロイヤルミルクティー」を注文したり、友達とオペラに行く約束をしたり、育ちのよさが人格にもたらす高邁なる精神をいかんなく発揮して天花にちくちく嫌がらせをするが(それに顎も心なし曲がっている)、竜之介にガン無視され続けた末、いきなり「いいひと。」にシフトチェンジして渡米。


「私、ロサンゼルスに行くの」
「ロサンゼルスってアメリカの?」
「他にあるの?」
「知らないよぉ」



知らないよぉ。


中盤辺りから明らかにカメラに動きが出て、効果音も派手になってきました。視聴率回復のためでしょうか。あと、保育園がつぶれそうになって、でもつぶれませんでした。住職は責任を取って修行しに山に行ってしまいました。園長先生もリタイアしました。同僚の保母・よしこ先生は、卒園生で保育園がつぶれそうになる一因を作った豪ちゃん(霊園経営を寺に持ちかけたのですが、相方に金もってトンずらされました)と結婚話まで出ましたが、うまくいってません。竜之介は坊主になるため再び修行に行き、天花との関係は「無し」に。でも多分すぐ元通りになりるでしょう。


全てのドラマの主人公がラストで死ねば、日本は良くなると思う。
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