BLOG馬場毎日 sawayaka

視界不良の馬場より金ゐ國許が綴る、満願成就三千里手前の幸福雑記

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つげ忠男「雨季」についてのメモ(上)

夢幻堂掲示板】の過去ログに、つげ忠男の傑作「雨季」に関するコメントを見つけた。現在、久しぶりに「雨季」近辺の忠男作品を読み返しているところなので、以下メモとして記す。まことに勝手ながら、ここにコメントを転載し(改行金ゐ)、いずれ国会前に会いに行く際に使いたいと思う。


つげ忠男「雨季」 投稿者/北冬書房さん
投稿日/2005年6月15日(水)17:55


「どうでもよかった あの人の波も絶叫も」
「赤旗も、何もかも・・・」
「ただ、わけもわからず、雰囲気だけに引きずられるのは嫌だった」
「無性に腹立たしく、情けない気分だった」
「これだけ多くの反対の声も、結局、押し切られる公算が強まっていた」
「気取るんじゃねえよ・・・か ははは」
「いつまでも気取ってねえで・・・」
「ザァッと・・・」

<じとじと 雨が降り続いた・・・>つげ忠男作品「雨季」より

1960年6月、作者のつげ忠男氏は、そのとき18歳だった。


60年反安保闘争 投稿者/北冬書房さん
投稿日/2005年6月17日(金)16:04


(略)「雨季」の背景となった時代は、1960年である。日米安保条約をめぐり、自民党は5月19日に議会を無視して強行採決にふみきった。翌日から、全国的に「民主主義を守れ!」「岸内角打倒!」「安保条約粉砕」のデモが展開されていった。国会議事堂の周辺には連日のように10万?20万の抗議デモが続いた。多いときは40万にふくれあがった。

つげ忠男が勤務する採血工場は、総評傘下の化学同盟に属していたようだ。つげ忠男の言葉に従えば、「毎日のように国会前にいってました」ということになる。むしろ旗を押し立てた農民、長靴姿の長い隊列は魚河岸の人々、と抗議デモは、「国民的」な様相を帯びていた。岸首相は危機感を抱き、自衛隊の出動をも検討していた。議事堂の上空には「陸上自衛隊」と印したヘリコプターが舞っていた。

ところで、ニヒリズムと諦観と憤怒が錯綜する「雨季」で、作者は、なにを伝えたかったのだろう。つげ忠男が国会前に立ったとき、まだ18歳だった。それから約10年を経て、ベトナム反戦運動でゆれ動く状況下で「雨季」は発表されたのである。

この6月、すでに60年反安保闘争から45年が過ぎ去ったことになる。



「雨季」が描かれたのは1969年のことで、8月・10月・12月と、三回に分けて『ガロ』に掲載された。この作品を収録する単行本は三冊あり、78年の限定版『雨季 つげ忠男名作選』、85年の普及版『雨季 つげ忠男劇画作品集?』、95年の『昭和御詠歌 つげ忠男選集?』、いずれも北冬書房から出ている。限定版と普及版には第三話完結編のみが「雨季」として収録されている。


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限定版『雨季』。函の絵はどれも「屑の市」より。右の絵は、確か『つげ忠男ポストカード』(95、ワイズ出版、6枚、直筆サイン入り)にも使われたように記憶しているが・・・【画像1】【画像2

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(左)普及版『雨季』(右)『昭和御詠歌』。表紙は「雨季」第三話より


初出誌と比べると、単行本では扉絵のタイトル右下にあった作者名の写植が全て抜かれ、限定版・普及版では、さらに「(完)」の字がない。これらは編集上の問題であるから置くとして、今回触れたいのは扉絵それ自体である。第一話、第二話ともに、扉絵には「酒の店 五六亭」の外観が描かれている。この「五六亭」、劇中に登場する飲み屋であるが、第一話の扉絵と第二話のそれとでは、構図が全く同じでありながらも、微妙に異なっているのである。

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作品集『昭和御詠歌』より。タイトルフォントも初出時と同じ

まず、第二話の扉絵では、第一話の扉絵にあった多くの斜線が黒一色で塗りつぶされていることに気付く。下書き調の斜線はつげ忠男作品の特徴と言えるものであるが(『幻燈2』に掲載された描きかけの短編「ボタ山」に顕著である)、背景の斜線が全てベタになり、屋根から斜線が消されたのには、何か特別な理由があるのだろうか。雑誌掲載時を見ると、どちらも印刷で潰れてしまっていたから、それを改善するためかもしれない。店の後ろの塀や闇に伸びる送電線も、第二話の方がはっきりと認識される。

また、二階の窓の斜線が減り、一階向かって左の窓から斜線がなくなっていた。入口上は窓だと思うが、ここも斜線が消されている。さらに看板から伸びる電線も消えて、「女性求む」のビラの文字もない。

こう書くと、簡略化しただけのような印象を与えるかもしれないが、実際は加筆されている部分も多い。たとえばベタ一色だった地面が、凹凸を表すよう手が加えられている。看板に絡みつく蔦も量が増え、入口脇の草にも陰影が加えられてボリューム感が増している。暖簾が外され、引き戸には対面のネオンが映っている。よく見れば、看板のロゴが描き直されている。

第二話の扉絵に至るこのような改変は、再度描き直したかのように込入ったものであり、あるいはある程度描き上げた時点でコピーをとっていたのかもしれないが、一見しただけではその労力に見合う理由が見つからない。公的な雑誌において、扉絵を使いまわすわけにはいかなかったという理由も当然考えられるだろう。しかし、それにしては改変箇所が地味すぎるのである。いくら「表現に敏感」だったという当時の『ガロ』読者とはいえ、気付かない場合が多かったはずである。

ここにつげ忠男の表現作法が見られることはおそらく間違いないが(地面の改変は「空の斜線→地面のベタ」の対応が「空のベタ→地面の斜線」になった結果だと考えていいし、ロゴについては、「の」の形に合わせて不自然に伸びる蔦を訂正したためとみるのが自然である)、さらに進めて、彼の独自性を理解し、作品の真価を問う絶好の材料になりはしないだろうか。

つまり、二枚の扉絵が示す差異から、「巧み」と思われているとは言えない忠男作品の構成が、「暗さ」といった全体への寄掛りや、台詞やテーマ、描線や特徴的な吹出しなどの個々の箇所へのフォーカスに代わって、マンガとして作品を語る要素たりうることを導き出せるのではないか。(つづく)
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COMMENT

第1話のみ、表紙をふくめて
平アミ(スクリーントーン)が、いっさい
使われていない。
これは、時間的差異なのか?
あるいは単に、金銭的問題なのか?

服部さんへのレスは次回を載せた以降に持ち越します、すいません。それよりも、海豚の方のコメントに食いつかせてください。幻燈6の感想もこめて。どうぞスルーしてください(質問には答えて欲しいです)。

>うらたじゅんには、アメリ賞も好いかもしれないけど、
やっぱ第二回ジャンヌ・ダルック賞。第一回は高野真美子。
>斉藤種魚には、岡田史子[の柳の葉]賞。
意識された記号論と深読みして。

これは皮肉ですか?


>西野空男はつげ義春賞か

「別離」は面白かった。が、凄くえらそうなことを言わせてもらいますと、もっと面白くていい作品だと思います。


>山田勇男は今のシリーズが単行本化したら、
世間はホッテオカナイ。と希望をこめてパス。

正直あの絵が苦手だったんですが、『幻燈6』から見識を改めました。犬がすごい

>河内遥も、どっかの新人賞を摂ったらしいから、余計なお世話なのでこれもパス。

良い作品だとは思うのですが、幻燈6は相手が悪かった(菅野修)


>木下竜一だけど、何かバケモノに成りそうなので、
羽鳥よしゅあ賞を。

絵が強いのは間違いないですが、まだ私には何ともいえない。羽鳥の分かりやすさが全く無いにもかかわらず、分かりやすさを強調しているところに恐怖を感じますが。羽鳥よしゅあのその後を見たかった。


>あとは、新谷成唯には、
絵画としての山下菊二賞をあげたいけど。

それは無いと思います。

管理人のみ閲覧できません。

パロるつもりが、技術的に無理なので断念。
それはサテオイテ、
8月12日の佐伯サンのようにあっちで噛付いてくれれば
面白かったのに。
さて
    馬場つげ版「賞をアゲル」解題
最初、菅野修には天才賞をあげようと思ったけど、
それは、20年前にあげるべきだった。
>これは皮肉ですか?
皮肉にみえますか?皮肉にみえるとすると先にUPした
「うらたじゅんのリアリティ」のせいかしら?全然マジです。
それから最初、天才に成りたがっている
菅野修に成りたがっている斉藤種魚には
菅野修賞と考えたんですが。
>西野空男はつげ義春賞
これは将来、つげ義春戦争と呼ばれ事に成るだろう。
>犬がすごい
犬もすごいけど、私は蕎麦屋の女将さんが、気になった。
今まで、主人公の2人以外が、こんなにハッキリ
実体化したことは、なかったと思う。
深読みするとこの婦人は山田勇男の身近の人か。
>良い作品だとは思うのですが、幻燈6は相手が悪かった(菅野修)
今号の河内遥の絵はメジャー化(?)する前の高野真美子の絵に似ている。
でもなんで、相手が菅野修なんだ?
>羽鳥よしゅあのその後を見たかった。
羽鳥よしゅあは死ぬ少し前「螺旋」に描いてたのが
狂っててスゴイ。又聞きだけど、その頃の未発表の原稿が
ゴッソリあるらしい。
>あとは、新谷成唯には、絵画としての山下菊二賞をあげたいけど。
>それは無いと思います。
このコメントは、金ゐサンが新谷成唯サン本人みたいじゃないですか。

管理人は閲覧する

すいません、あちらで書き込まなかったのは、そのような展開になる&集中砲火を浴びるのを避けるためです。「パロる」・・・・・・さすが、私の真意を読み解かれましたね。

服部さんが斉藤種魚と最近の菅野修を評価していないのはわかりました。

河内遥も菅野修も手法勝負に出た、という点で、円熟の菅野修の前に霞んでしまったと思うのですが。河内遥は決めるべき最終ページで決められなかった。

螺旋・・・・・手に入るだろうか。

もちろん私は新谷成唯ではありません。だからこそその賞に適していないと判断できるわけですが。私は新谷作品の素晴らしさが分かりません。作品内の要素全てがオルタナとしての「象徴」の役割しか果たさず、山下菊二の、過度に計算的なコラージュ作品をも成り立たせた逼迫した情念が、描線から感じられないと思うのです。

管理人は閉鎖的に弄ぶ

服部さん、書き込み非常に興味深いです。
近々レスします。

ウルトラ万太郎

遠くからの援護射撃、ありがとうございます。
もともと、金ゐサンの
>オルタナとしての「象徴」の役割しか果たさず……
から、派生した遊びなので、ここに貼り付ければ佳かったんですが、つげ忠男の作品に出てくる主人公をきどってる人たちに、わたし、ラジカルに対処したいんで。
でも結局、反応してくれたのが金ゐ國許ひとり。
ユゴーさんにしても、新しい論客なので、
傷が付かないように、遠くから………

我々は遠くから来て近づいては来ないのだ

レスしようと思ったら

「アクセスできない状態が続き、ご迷惑をおかけしております。
現在、掲示板へのアクセスが急増しており、負荷が高まってしまっております。」

落ちるほどアクセス集中?そんなに喜ばしいことが?w
誰か学会批判でも繰り広げたのかな・・・・・・

まあ、マジレスしますと、傷を付けないため、というよりも、私が書き込むと場の空気がものすっご悪くなるんですよ。残念ながら。哀しいことに。いかんともしがたく。

これ以上迷惑かけちゃいかんとの配慮だと思ってください。やはりあそこは「公式」サイトですからね。

ユゴーは激務中のため反応を書いていないようですが、先日電話したところ、「林静一・菅野修の記号論を、つげ義春の記号論的風景からの逸脱のアプローチとして見るのは、かなり説得力があってグッドだと思う。ただ、それがなぜ新谷作品賛美に繋がるのかが分からない。背景と人物が同質であることはただ「意味の不確定」であって、「没意味」の究極とは違う。あと金ゐは描線描線言い過ぎ。アホみたい」と言っていました。

登場人物は登場人物でよい、それは個々の背景に埋もれても仕方ない、それが私の考えです。いやはや考えさせられました。

あれは海豚全体の問題でした。そりゃそうか。

うーん、論争好きが集まってますねえw
無闇に煽りまくっているw

さらにひとこと。



グ  グ  レ!!!!!!!!!!

グ  グ  レ??????????

服部は遊びにあきたヨ。

服部はグチをこぼすヨ。

服部は秘密会議をしてるヨ。

服部は14日、万力のある家の、オープニングに逝くよ。

「ドクロ太郎」は好い落し処だと思ったんですがね。
金ゐサンの公式云々の助言に習って、
つげ忠男で治まって。
これは、テッテ的にやんなくちゃなんないかな。
でも、商人宿を誰かレスしてくれるまで待とう。

なんだか真意がつかめません、というより何が何なんだか。誰が誰なんだか。taroって服部さん?

>万力のある家の、オープニングに逝くよ。
私はいけないんですよね。
絶対セドラーたちが集うと思うw

すんません、どういうノリでレスすればいいのかわからないです。 

ホンモノデス。

>なんだか真意がつかめません、というより何が何なんだか。
>どういうノリでレスすればいいのかわからないです。

誰もが、最初、金ゐ國許のエントリーに抱く、戸惑いです。

逝ってらっしゃい。


逝きませんが行きますよ

確かにw

って感傷的なエントリーの後に

>先の公式ホームページというのも、
ブロガーにとっちゃ権威なのだってことも最近わかった。
意識するしないに拘らず
権威というか力関係は、
生まれちゃうんだね。
幻燈に文章が載っちゃうだけでもね

ちょっとまってください。皮肉はいいですけど、それは誤解ですよ(多分わたしに言っているんだと思いますが)。

私は権威主義に従って書き込みを援護しなかったり、批判しなかったりしているわけではないです。公式ホームページには「権威」的なところがそりゃありますよ、「何の権威のない賞でも、自分のリスペクトする名がそこにあったら、そりゃあ嬉しいもんだよ」。

でも、それはブロガーであったり、HPを作った事のある人なら分かると思いますけど、「敬意」にカテゴライズされるべきレベルのものですよ。私は、公式ホームページというものが『つげ義春をちらっと読んでふらっと寄ってみた人』に無視しがたい影響を与えることができるからこそ、敬意を払います。自分の言動で窓口を閉ざすような迷惑をかけたくないと思うからです。それは事勿れではない。自分でブログなり何なりを作って、そこで発言すればいいのですよ。こんなに簡単にできる時代なんだから。

海豚を荒らしてしまった経験があるからこそ(ご存知ですよね)、極力書き込みを避けることにしています。ブログをみていただければ分かるように、人を逆なでする文体を持っていますしね。しかし、それを他人に強制することはしませんし、もとよりできません。ただ、私はしない、その代わりに見解をこうしてここでレスしています。

私は、貴方の無意味な「煽り」に疑問を抱きます。貴方の書き込みは興味深かった、それを何故反論されたからと言って(正直あの反論もどうかと思いますが)煽るのかがわからない。海豚は論争好きが集まっているようですけど、煽り合戦をやって、飛び火を狙うのはつげファンに迷惑です。

煽るならご自分の場所で煽ってください。そして、幻燈の感想をドシドシと書くのが最善では?

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