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視界不良の馬場より金ゐ國許が綴る、満願成就三千里手前の幸福雑記

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私にはわからない

永島慎二の訃報を聞いて、真っ先に頭に浮かんだのが、マンガ研究誌『COMICBOX』である。先ごろの復刊号では「つげ義春と永島慎二」が特集されていて、若かりし二人(ともに19歳)が並んでうつっている写真が印象的だった。

1991年12月のvol.88「つげ義春特集号」には、永島が大々的につげ批判を繰り出した、ショッキングなインタビューが掲載されていた。

永島はつげのことを「気に入らない」「気に入らない」と連呼し、「俺とつげとの関係は陰と陽の関係だね。俺がうけたときは、あいつは沈んでいる。つげが今うけているとき、俺は世間からずっと離れていたいね。」と言い切っている。

賞賛に慣れたつげファンは、永島の態度に少なからず戸惑いを覚えたと思うが、「不思議なことにここ十数年俺は、他のまんがは読めないのに、つげ兄弟のまんがは読めるんだよ。この前も『無能の人』本屋でみつけて買って読んだ。」というから、もちろん、すべてが本心ではないのだろう。インタビュアーの「露悪的」との指摘に対して、永島は「ひとりくらいクサスやつがいて始めてつげが立ち上って来るんじゃないの?」と述べている。あるいは盟友へ向けたリップサービスだったのかもしれない。

しかし、ここでの永島はあまりに「露悪的」すぎる。このインタビューのどこまでが冗談なのか、実際のところはわからないが、すべてが本音ととれてしまうほど、現在の二人の評価は対照的に見える。

2003年に永島の漫画家生活50周年を記念して、「ふゅーじょんぷろだくと」から『漫画家残酷物語』が刊行されたときも、おおいに話題を集めたし、売り上げもよかったようだが(おそらくです)、ではそれで再評価の気運が高まったかと言うと、私にはそう感じられなかった。

マンガ評者たちの手によって戦後マンガ史のなかに位置づけられることを「再評価」というならば、確かに高まったのかもしれないし、今後より高まっていくことは確実である。

しかし、少なくとも「若者を中心に絶大な人気を集め、手塚治虫をして「若者の教祖」とまでいわしめた永島慎二」(『COMICBOX』HPより)像の復活には程遠く、復刊を契機に何事か起こる、ということはなかった。事実、私が知る限りでは、ネット上に永島慎二専用ファンサイトは一つもない。

なぜこのようなタイミングで、このような「嫌な感じ」の文章を書いているのか、書いている本人にもわからない。が、私が言いたかったのは、ただ「私には永島作品がわからない」ということである。

ふと、阿佐ヶ谷の喫茶店『COBU』で働いている知人を思い出した。今も働いているかは知らない。既にその知人とのつながりは絶たれてしまったからだ。

阿佐ヶ谷は永島が長らく居を構えていた地であり、永島は『COBU』の常連だったそうだ。かなりのお気に入りだったようで、「引っ越す前はしょっちゅう来て」いて、「引っ越してからも時々来ていた」らしい(作品の展示会も『COBU』でやったことがある)。もちろん知人は永島本人と何度も話したことがあるという。

あるとき、永島作品がわからない私が「なんとなくわかる」彼女に作品の感想を求めると、即座に「絵が好いの」と言った。晩年の銅版画を持っているとも言っていた気がする。私にはそのよさがわからなかった。そして今もわかっていない。
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